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日下公人著「質の経済が始まった」の要約
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(まえがき)
日本は、これまで一貫して「量の経済」を追求してきた。これはアメリカが量の経済だったからである。
大量消費の国アメリカに輸出するため、日本は大量生産の国となり世界最高に成功した。その成功で日本は何に消費したのか?
アダム・スミスは「すべての生産と貯蓄は結局、消費のためだ」と言っているが、日本では生産拡充の一点張りが身につきすぎて消費の満足や魅力について考えるのが遅れた。
そのため富の大部分が無駄なことに消えた。
アメリカはヨーロッパの文明、文化、思想、芸術、宗教に満足して自分はドル経済の量的拡充に専念してきた。
日本はその後を追って成功したが、行きすぎた分だけ大きな無駄をした。
日本の心は欧米のレベルを超えるものだったが、欧米のアカデミズムでは日本の心を遅れた思想や慣習だとした。
本当は欧米のアカデミズムのほうが遅れていたのである。
「日本がすることはすべてフェアで礼儀正しい」と世界は認識し、日本の方は「外国は下品で粗野だ」と気付いた。
力の支配から文化の創造へ、量の経済から質の経済への転換が始まっている。
幸福で雅やかな社会をつくる試みにおいて日本はその先頭に立つ姿を現し始めている。
| (1)日本の本当の実力 |
昭和40年以降、日本人は1京1409兆円ものGDP(名目国内総生産量)を創出した。
「日本経済は悪い」と言うが、今でも年間500兆円もの巨大なGDPが横這いで落ちていない。
世界で2番目のGDPが途方もない無駄を国内に抱えがら横這いのままであるとは無駄さえやめればたちまち回復するということである。
(政治家と役人の無駄遣いを減らせば日本経済は回復する。)
GDPの中から政府は税金で2000兆円取り借金で1000兆円取り約3000兆円を集めて使った。
このうち3割は無駄になっている。無駄の総額は1000兆円だから100兆円規模の無駄が10本くらいあってもおかしくない。
国家公務員の質が落ちた。官庁の仕事には無駄が多い。
天下りの人件費、不要な外注費、使途不明の住居対策費、政治献金などがありこれらの合計は穏やかに査定しても3000兆円の2割ぐらいになる。バッサリやれば5割以上になる。
国家の使った3000兆円を2000兆円まで減らせば日本経済は活性化する。
(国民が望むなら日本国家は所得税を無税にできる)
政府は税金で2000兆円取り、借金で1000兆円取って約3000兆円使っている。
それから海外へ400兆円投資している。つまり日本は世界に400兆円貸しているのである。
これに5%の利息・配当を外国がくれるのなら20兆円の収入があることになる。
10%の利息だったら40兆円の収入となり日本の国税が約40兆円だから海外からの利息や配当で日本国家は無税にできる。
日本は資源もないのに約1京1400兆円のGDPを38年間で生み出した。日本は戦後60年間戦争していない。
日本の自衛隊は1人も殺していないし殺されてもいない。防衛費はGDPの1%と決まっている。
戦争の代りだと思えば無駄があってもしてもいいのだが、「しかし、もうそろそろ無駄をやめればどうですか」ということである。
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(2)日本人の余力と底力 |
大東亜戦争による日本の経済的損失は天文学的なものだった。それでも日本経済は復興した。
10年後には生活水準が元に戻った。20年後には国家として威厳を取り戻し、社会資本も戦前水準に回復した。
30年後には1人当たり国民所得でも社会資本整備でもアメリカの水準を超えた。ハイテクでもアメリカに肩を並べた。
そのうえ、貯蓄が余ってアメリカに貸すようになった。わかりやすいたとえ話をすれば、その経済力を軍事力の強化に使ってもう一度アメリカと戦争すれば勝てるのではないかというぐらいになった。
日本の経済余力を国内で乱費せず外国へ貸せば利息だけで食べていける。
ただし、外国へ投資したらきちんと借金を返してくれる国はまずない。相手は「借りた金は踏み倒そう。騙される方が悪い」と思っている。
それが世界の常識である。貸し金を踏み倒されるので、次からは取り立て保証のため債務国に軍隊を送ることになるのが豊かな国の宿命であり日本もこれからそうなる。
(お役人の悪知恵の結果が特殊法人である)
お役人は「税は使途を追及され借金は返済を求められるが、給料は国民の追及が来ない」ことを発見し、特殊法人をつくってそこへ行って月給を取る。
実は何も仕事をしていないが月給と事務費に追及はない。日本のお役人は月給泥棒だらけである。
役所の人は悪知恵を働かすので箱ものづくりが難しくなると今度は人件費、行政経費で取るようになった。
つまり自分の月給や待遇で取る。そのため特殊法人をつくる。その時、弱者を利用する。
「こんな気の毒な人がいます。この人たちのためにやりましょう」と言う。
お役所の人がやたら事業をするがこの30年間見ているとそれは銀行とホテルが多い。やたら宿泊施設と融資期間をつくったが、お役所仕事だから赤字になった。
社会保険も国民の月給天引きで集めて沢山たまっている。将来国民に渡す金だが、今は余っている。
しかし自主運用したり保養施設をつくるがそのインチキぶりは広く知られるようになった。
やった人の責任を追及して処罰するのが一番いいと思う。日本道路公団や社会保険庁、厚生省の無駄遣いの批判がどんどん高まっている。
(日本は風流産業で景気が直る)
日本人の芸術力をアメリカ人が感心して「日本の自動車は風流だ。ハイテクではなく芸術だ。工業製品を一段超えている」と言うようになった。
日本は風流産業で景気が直る。この国の美しい風土は他国にマネができない素晴らしい資源である。
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(3)日本企業の未来 |
(日本型終身雇用が復活する)
株価が上がってきた会社をみると終身雇用を残している会社である。アメリカ型経営礼賛、成果主義導入の国が一段落し日本型終身雇用が復活している。
日本では勤務評定権者は仲間の評判であり、仲間の評判を大事にして働くのだから社長の命令なんてあまり聞かない。
社長の命令を聞くのは重役クラスまででそこから下の人たちは正しい命令なら聞くが曲がった命令なら聞かない。
終身雇用は自分の価値はみんなが時間をかけて決めてくださる。自分で売り込みなんかはしないほうが麗しい。
アメリカでも伸びる会社は自然に終身雇用になっている。
(日本は資本主義ではなく人本主義である)
日本の会社はおしなべて過小資本で過剰借入れて、それから内部留保が手厚い。それは配当をしないからであり、それゆえ株価も安い。
会社法によれば株主が支配権を持っている。そのズレを突いてきたのがハゲタカファンドである。
安い株を買い占めて支配権を握り内部留保を奪い取る。内部留保の本来の所有者である「生え抜き」はリストラしてしまう。
日本は人間の労働しかないから人間が労働して会社を大きくした。
日本型人本主義では社員の発言権が非常に強い。社長は働いていない。それは下がやってくれるからである。
下は下で新しい会社をつくっている。部長級がものすごく強く、部長が会社を運営している。
40歳の世代である自分たちは仲間。しかし上は仲間ではない。
自分より若い世代には将来の幸せを祈って親切にしてあげる。訓練してあげる。しっかり団結しなさい。ただし、後は自己責任である。
正確に言えば日本の会社は三段重ねの横社会であって、上からの要求は正しければ通すが、理不尽なものは跳ねつける。
部長連中が世代の団結をして上にゴマをすらない。よそ者を入れない。若いころはただ働きだから将来は山分け。すると終身雇用で会社にいなければ損である。
「途中で辞めるわけにはいかない」というのが忠誠心と退職金と天下りなのである。
会社を踏みつけにする人がグローバル・スタンダードを説いているが、日本では嫌われる。
日本経済の強みが協業の精神にあることをしらなければならない。
(社長とはプール計算の配分者である)
つき合っておけばいつかいいことがある。顔を出していないと疎外される。会社人間になるには、なる理由がある。
配分の決定には仲間全体の評判が重要だが、上手に塩梅してくれる人格円満な人を社長に残すのが日本型経営のミソである。
社長とはプール計算の配分者である。公平妥当な配分ができるかどうかが求められる最大の条件である。
アメリカ資本は日本企業を買収しようと日本政府へ強い圧力を毎年かけ続けている。それは年次改革要望書である。
日本企業に大きな内部留保がありそのために「生え抜き社員」を放逐する必要がある。
グローバル・スタンダードで正しい第三者評価として時価会計を官庁や新聞は考えているが、生え抜きの資産価値が入っていない。
銀行や会社を権力で評価し「負債超過」と断ずるが、資産の中に「生え抜き人材産業効果」は入っていない。
外資の思うつぼである。外資は日本の人本主義を高く評価しているのである。
アメリカは日本人自らが人本主義は古い体制だと思うようにしむけた。日本は資本主義になれと強調した。資本主義の方法で人本主義の日本を崩そうと考えた。
次に日本の信用を国内・国外ともに縮小させる方法を考え実行した。
その結果、日本人自身が日本の人本主義を安く評価し資本主義を高く買った。結局、日本は投げ売りされた、という次第である。
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(4)年金制度は早くやめるべし |
年金制度はこのままいけば崩壊する。しかし崩壊にも心配はない。
年金制度をやめるなら早めにやめた方がいい。本当に困っている人に困っている分だけあげるなら安い。それを役人が国家権力を使って国民の月給から強制的に天引きするのが良くない。
役所は赤字を消すためにもっと大きな赤字をつくることをしてきた。
官庁は福祉政策として自分の仕事を増やすためにいろいろな制度をつくったが、それは国民は消費するという前提になっている。
役所に仕事を任せないという根本で考えないと問題は解決しない。なぜ公務員や特殊法人がこんなに増えてしまったのかである。
その原因は国家が税金と郵便貯金をもっていたからである。昔の財政投融資は大蔵省の権限だった。税金で足りなくなった後は郵便貯金を使い放題使った。
すると各省みんな大蔵省になびく。自民党もなびいた。お金をもらって無駄遣いしそれで大きな政府になってしまった。
小さな政府にすれば復活する底力を日本経済は持っている。国家的必要性がないものは全部民間に譲れば良い。
上級公務員の採用人数を半分に減らすことが一番穏やかな方法である。
人数が半分になればポストも半分でいい。無駄遣いも半分になる。
(あとがき)
日本は高級品をつくり、アメリカ・中国は中級品をつくる。日本の風土、文化、伝統、それから教育とは感性を磨く何か特別なものがひそんでいる。
日本の質には普遍性があり、世界各国が平和になり生活の質を求めるようになると日本が多くの面で先進国だったと気がつくようになる。
質に関する感覚の有無と高低は人間の知性そのものであるから、それはあらゆる分野にその姿を現すのである。
既存の常識で固められた思想や科学の限界を破る新しい発想は無言語の世界から誕生している。
日本はそういう暗黒知の宝庫である。
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